読書感想文

読書、ラテンアメリカについてのブログです。

『狂骨の夢』 京極夏彦

 

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

 

ー私の記憶の中に、他人の記憶が雑じるようになったのですー

久しぶりの読書感想文です。私が、この一か月の間に読んだ本は

この三冊です。

この記事では狂骨の夢を扱います。

なお、狂骨の夢は、京極堂シリーズのうち3番目に発表されたものです。

第1作は、ミステリー界にに衝撃を与えた京極さんのデビュー作、姑獲鳥の夏

第2作は、シリーズ最高傑作と評価の高い、魍魎の匣

この二冊は、すでに読了済みです。

どちらも、とてもとても面白く夜を徹して読みました。

また感想文が書きたくなったら、このブログにあげると思います。

 


さて、この狂骨の夢のあらすじは、


八年もの間、記憶を失っていた女性、宇多川朱美。

小説家の夫と共に穏やかな日々を送っていたのだが、偶然昔の夫が殺害され首を切断されていたことを知る。

そのことをきっかけに、何故か他人の記憶と意識が雑じりだし、白昼夢をみるようになってしまう。さらに、死んだはずの夫が蘇ったとまで言い始める。

双子山での集団自殺や、逗子湾で発見された黄金の髑髏など、不可解な事件が発生するなか、彼女に出会ったのは、京極堂たちの友人である伊佐間一成。

彼は、朱美を助けることができるのか?そして、京極堂により明かされる真実とは?

 

おおよそ、このような流れで進んでいきます。

 

読了後の感想は、

京極堂シリーズの中で最も面白かった!

 

ホントに面白かったです。大胆不敵なトリックを仕掛ける姑獲鳥の夏と超絶ミステリーと呼ぶのに相応しい魍魎の匣、ともに大好きなのですが、この本はそれを超えていきました。

まず、京極堂シリーズに欠かせない過剰なまでの薀蓄も、解りやすく筋道を通して解説してくれますし、トリックも姑獲鳥の夏に負けないくらい大胆です。

そして、この本では京極夏彦さんの表現力がさらに凄みを増しています。

特に、宇多川朱美の艶やかさには、いい女だなぁと感じずにはいられません。

そして、ラストの憑き物落としでの京極堂は本当にカッコいいです。

京極堂の憑き物落としによって、これまでの伏線と膨大な薀蓄が、事件の真相と繋がった時は本当に快感ですよ。


絶対読んでいただきたいのが、星5つ。

申し訳ないが、つまらなかったのが、星1つ。

普通が星3つであるなら、

この小説は、星5つです。

本当におすすめです。

ただ、京極堂シリーズは始めから読んだ方が絶対に面白いので、まだ京極夏彦さんの本を読まれて無い方は、

是非姑獲鳥の夏からお読みになってください。