『予告された殺人の記録』 G・ガルシア=マルケス
ー自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝五時半に起きたー
この小説はこんな文で始まります。とても引き込まれませんか?
自分が殺される日??そしてタイトルの「予告された殺人」とは??殺人は発覚しないように行うものだ。だとしたらとても矛盾しているのではないか??
そんな考えが頭の中をめぐりました。
さらに少し読み進めていくと舞台となる町の住人のほとんどがサンティアゴ・ナサールが殺される運命にあることを知っていることが分かります。
またサンティアゴ・ナサールの家のドアには、殺人の場所、動機、計画までもが記された封筒が挟まっていた事も分かります。
なぜ殺人は行われたのか?誰がどのように?なぜサンティアゴ・ナサールはその運命から逃れられなかったのか??
多くの疑問を抱いたままこの物語の世界へ飛び込んでいくことになります。
なぜこの本を読む気になったかというとガルシア=マルケスさんが著者だからです。
ガルシア=マルケスさんは1982年にノーベル文学賞をとったコロンビア出身の作家です。ラテンアメリカ文学の旗手と言われるくらい有名な方です。
私は「族長の秋」を読み本当に衝撃を受けました。
化け物のように長生きである独裁者の話です。ショッキングなシーンも多いのですが、独裁者は滑稽に描かれ、孤独に苦しめられていく様子が文学ならではの表現で描かれます。必ず感想文を書くつもりです。機会があれば絶対に手にとっていただきたいです。
- 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arques,鼓直,木村榮一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 20回
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さて、その本でガルシア=マルケスさんを知り、ラテンアメリカ文学に心を奪われた私は今回の本を読むことになったわけです。
感想は
よくある話だが構成がずば抜けてるためめっちゃおもしろい!!!
って感じです。
ネタバレは避けますが動機などは割とすぐ分かります。推理小説ではぜんぜん無かったです。しかし小説全体が周到に計算し尽くされています。「族長の秋」にも通じるのですが過去・現在・未来が渾然としています。時間軸がミキサーにかけられているかのようです。しかし、決して読みにくいわけではありません。犯行の動機、犯人の正体、殺害までの緊迫とした経緯などが小出しにされています。おそらく読者の興味を引くためでしょう。私も最後までドキドキしながら読んでいました。そしてページをめくるごとに殺人を多彩な登場人物の証言により追体験していくことになります。
また最後の閂が切なかったです・・・・これも物語のはじめに伏線が張られていますね・・・・
やっぱりすごいなあ。
5つ星が絶対よんでほしい、1つ星が申し訳ないがつまらなかった、3つ星が普通であるなら
この物語は4つ星です。ぜひ読んでみて下さい!!